はじめに

 まず問おう。あなたはどのような基準をもってCDやレコードを選んでいるだろうか。ジャケ買い、レーベル買い、ショップ買いにナイス買いおよび阿藤買い(なんだかなー)と、購入の決め手は多々あろうが、CDやレコードを紹介・解説する書籍や雑誌など、いわゆる「ディスクガイド」を参考にする、という人も少なからずいるのではなかろうか。

 音源探しを航海にたとえるなら、ディスクガイドは海図(チャート)に相当する。わたしたちはこの海図を手にレコードショップという海に漕ぎ出し、未知なる発見を求めるのだ。念願かなって手に入れた宝(音源)が期待どおりのものであったなら、そのディスクガイドに対する信頼と感謝の念はひときわ強くなるし、聞くに値しないガラクタの音であったなら、そのファッキンCDやLPはただちに拳で打ち砕き、ディスクガイドは引き裂いて捨てるに違いない。

 「ディスク選びはディスクガイド選びから」という格言もあるように、目的にかなったディスクガイドを手に入れることができるか否かで、その人のミュージックライフは大きく変わると言っても過言ではない。にもかかわらず、「ディスクガイドなら何でもいいや」と安易な気持ちで本を買うケースが多く見受けられる! これは非常にゆゆしき事態だ。 その安易な考えが、あなたのディスク選びを間違った方向に導いてしまっているかも知れないのだ。

 適切なディスクガイド選びは、実りある音楽生活を実現するか否かを左右するきわめて重要な行為であるということを、まずは認識していただきたい。

 ところで、ここまで読んだ賢明な読者諸氏は、きっと次のような疑問を抱くに違いない。「ディスクガイドが大事なのはわかった。だが自分に必要なディスクガイドをどのように探せばいいのか」、と。

 だが心配することはない。黙ってこのディスクガイド・ガイドを読めばいいだけのこと。この特集を読むこと、それはすなわち自分にふさわしいディスクガイドを悟ったことを意味する。

【ディスクガイド・ガイドのねらい】

 以上の前提をふまえたうえで、いよいよディスクガイドのガイドを始めよう。書店へ行けば無数のディスクガイドが棚に並んでいる。実際、毎年あらゆる出版社から数多くのディスクガイドが発行されており、その内容は多様を極める。当然のことながら、わたしひとりですべてのディスクガイドを網羅するのは不可能だ。 そこで本論では、限られた資料で最大限の効果を発揮するために、よりよいディスクガイド選びのための指標をまとめてみることにした。

 まず【解説】編では、ディスクガイドを便宜的にいくつかの類型に分け、特徴・エッセンスを抜き出すとともに、それぞれのメリットとデメリットを簡単に述べてみようと思う。 さらに【書籍紹介】編では、個人的に所有しているディスクガイドを中心に簡単なレビューをおこない、個々のディスガイドのありようを知ってもらおうと考えている。

 類型としては、わたし独自の観点で「年代」「ジャンル」「アーティスト」「スタイル」「リファレンスタイプ」「使用楽器」の6タイプに分別した(右側の「カテゴリー」を参照のこと)。分類はあくまでも形式であって、厳密に音楽的・論理的に枠組みを定めたものではないことをお断りしておく。

 前置きでだいぶ長くなってしまったが、ぜひともみっちり読んでいただいて、ディスクガイド探しにいそしんでいただきたい。そして、このディスクガイド・ガイドがあなたのミュージック・ライフの一助となることがあるとしたら、筆者として望外の喜びである。

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