January 01, 2015

(1年遅れの)My Favorite Discs 2013

2015年も明けてしまいましたが、ほぼ1年遅れの2013年の10ベスト(+1)を書きました。2014年の年初に半分くらいまで手を付けていて放置していたのを改めて聴き直して再構成。比較的新しい作品が多いのは、Last.fmやShazamとかで発掘する機会が増えたこととも無縁でないかもしれません。2014年版も時間があれば近々書きます。

1から10まではどれが気に入ったというのはなく順不同。11は次点という扱いです。

011. James Blake / Overgrown(2013)
たぶん、「ダブステップの新星」といったレッテルから判断して、音源だけを聞いていてもジェイムズ・ブレイクの真価は理解できないと思う。バカ売れした前作を受けてドロップした本作はシンガーソングライターとしての本領を遺憾なく発揮。バックトラックと執拗低音は20年くらい前に流行ったPortisheadやトリッキーあたりのトリップホップを思わせるけれど、ああいう不穏さはなくてひたすらに内省的。最近はフロアをあえて避けるような曲ばかり出すけど、いざライブになればひたすら弾けまくってくれるあたりが憎めない。

022. Perfume / LEVEL3(2013)
もう鉄板。EDM色強めた5作目。前作は歌モノ志向だったので、今後はそちらの方に行くのかとおもっていたら、初っぱなからキレッキレ。でも、西海岸EDMほどせわしなくない。アクの強い粘着ダブステップなイントロからキャッチーなボーカルセクションが入る「Spring of Life」、もろEDMな「Party Maker」、言葉遊びもたのしい「だいじょばない」、アラビア音階調(?)な「Sleeping Beauty」といった遊び心もあってビジュアル無しでもぜんぜん飽きない。

033. Machinedrum / Vapor City(2013)
真っ暗なフロアでひたすらEQの低音域を引き上げて爆音で流したい種類の音楽。のっけの「Gunshotta」からして深いリバーブで安心させておいて怒濤のブレイクビーツで圧倒してくるからのけぞった。音を起きているだけでも、タイトル通りどことなく霧に巻かれているような湿っぽさが伝わってくるあたりが不思議。この低音を全身で感じ取る機会があれば、もう虜。

044. Squarepusher / Ufabulum(2012)
出来不出来はあるけれど、コンスタントに作品を出し続けてくれるあたりが信頼できるスクエアプッシャー。今作は久しぶりにアゲまくってる、だけでなくてキャッチーさもあって聞きやすいアルバムに仕上がった。Aphex Twinのようにエキセントリックな方向に行きすぎないけれど、どこか教会音楽のような荘厳さと調和のなかに狂気をはらませている点がこの人ならでは。繊細なメロから入ってV8フェラーリの空ぶかしのような怒濤の電子音でおしまくる「Dark Steering」は映像ともども必見。

Resized_055. LAMA / Modanica(2012)
ほぼスーパーカー。「Highvision」の後継的作品。ナカコーにフルカワミキ、田渕ひさ子とAgraphの牛尾憲輔。1作目の出来が正直いまひとつだったので心配だったけど、2作目で皮がむけた。弱めのキックとスペーシーな浮遊感の電子音に絡むギターサウンドが心地よい。後発のサカナクションあたりと際だってちがうのは、頂点までアゲきらずにどこか抑制的なところ。2曲目の「White Out」とかシングルカットされた「Parallel Sign」とかが典型的。

066. Sister Crayon / Bellow(2011)
「Souls of Gold」でブレイクしたサクラメントの4人組。カーディガンズやクラウドベリー・ジャムの北欧ポップが好きだった人なら間違いなく入れ込めるはず。気怠げな女性ヴォーカルとストリングス、ライトなギターサウンドの3点セットでおしゃれ路線かと思いきや、音響派の要素も含めた楽曲はかなり凝っていて、表現豊かなテラ・ロペスのヴォーカル共々しっとりと聞かせる実力派。ライブ見たい!

077. Of Monsters and Men / My Head Is an Animal(2013)
アイルランドの5人組。ケルティックフォークの要素というと以前はポーグスやドロップキック・マーフィーズ、最近ではスキニー・リスターあたりが流行っているけど、こちらはロックの要素は控えめでアーケード・ファイアあたりにも通じる土着感がある。女性ヴォーカルはケイト・ナッシュやリリー・アレンを思い起こさせる美声で、愛くるしい男性ヴォーカルとの絡みも美しい。2曲目の「King and Lionheart」からアンセム「Mountain Sound」へのつなぎが特にしびれる。2013年のフジでは土砂降りのでかすむホワイトステージの演奏が見事にはまっていて感動的ですらあった。

Resized_088. Porter Robinson / Spitfire(2011)
1992年生まれのEDM界の新星。これもフジのレッド・マーキーで見たアーティストだけど、スクリレックスのように聞き手に息をつかせてくれないひたすら突き上げまくり絶対フロア志向EDMではなく、こちらは入りで抑えつつも肝心どころでガツンと盛り上げるタイプ。2曲目の「Unizon」やヴォーカルをフィーチャーした4曲「Vandalism」あたりが無理してない感があって好印象。

099. The xx / xx(2009)
シガー・ロスあたりに通じる音響系ポストロックユニット。1曲目のイントロ5秒を聞いた瞬間に名盤であることを確信させる出来。1曲1曲はコンパクトで、生音主体のシンプルな楽器構成にヴォーカルをきっちり聞かせるあたりがありそうでなかった組み合わせで逆に新鮮。フジでは3日目ホワイトのトリ。前々日のスクリレックス、前日のジュラシック5とはまるで正反対の“静”のステージだったけど、生で見て・聞いてみると、単に繊細で美しい音を奏でるだけの名ばかりの音響系アーティストでないことが分かるはず。ギター音色響き渡る唯一のインスト曲「Fantasy」も素晴らしい。

1010. Savages / Silence Yourself(2013)
こちらもフジでの来日目当てで購入。ルックス的にはかつてのL7を彷彿させる、硬派な4人組の女性バンド。イントロ曲の「Shut Up」や「I Am Here」からは、腰がどしんと据わったタイトなリズム隊を中心に、SE的な手法を駆使して耳をつんざく鋭利なギターが畳みかけてくる。ライヴでの瞬発力も相当なもの。ヴォーカルは若い頃のパティ・スミスに似ているけど、音はクラッシュからエコーベリーやエラスティカあたりの英国ロックを受け継いでいる感も。いまどきにしてはストイックな音楽志向だけど、次作でどこまで完成度を高められるか見どころ。

1111. Skrillex / Scary Monsters and Nice Sprites(2010), Bangarang(2011)
そのスクリレックス。音楽だけ聴いているとテンション高すぎて疲れちゃうけど、ホワイトステージでのライヴを目にすれば疲れなど忘れさせてくれる超強力ドーピング剤になる。いまでしか盛り上がれない刹那感がいかにも米国的なノリ。良いか悪いか好きか嫌いかという話ではなく、2010年代に体感しておくべき音。


●過去の10ベスト
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年
2003年
(特別企画)クリスマス特集


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September 01, 2014

SIGMA 30mm F1.4 DC

Imgp8915ひさしぶりの単焦点。SIGMA 30mm F1.4 DC。現状、FA 35mm F2より広角の単焦点レンズを持ってないので物色していた。PENTAXのDA 21mm F3.2あたりを考えていたけど、超音波モーターとコストパフォーマンスを考えてこのレンズをチョイス。FA 31mm F1.8 Limitedは10万超えでとても手が出ない。

30-50mmクラスのベーシックな単焦点レンズはたいてい軽量・コンパクトなものだが、この30mm DCは思った以上にデカくて重い。でも製品の仕上がりはすごく丁寧で安物感がない。サイドの「A(Artライン」)」のエンブレムも良い感じ。写りはこれから検証。


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April 30, 2014

K-01ことはじめ

Imgp3911PENTAX K-01を丸一日使ってみての感想を。デザインは愛でるに値するポップさ。ボディの大きさも存在感を主張するという意味では良い。もともと厚みがあるのでホールド性についても不満を覚えることはなかった。ただ、標準で付くストラップについてはデザインはまあ許せるとしても、長さが中途半端。首にぶら下げると機動性が落ち、肩にかけると長さが足りず、ハンドストラップが欲しいところ。すくなくともDA 40mm F2.8 XSと組み合わせて使う分にはそう思った。

起動から撮影に入るまで、電源が入りミラーアップするまでは独特の間がある。つまりそれなりに待たされる。というより、ふつうのKシリーズでライブビューで使うモードとまるっきり同じ感じ。K-30から光学ファインダーを取り去ってライブビュー専用機にしました的な、ある意味お手軽なこの機種の成り立ちを実感する。

とはいうものの、画質面でAPS-Cセンサーを始めとする撮像エンジンの多くを流用した効果は少なからずある。画質は総合的に見ればK-5おりも若干劣る程度。周囲の光が十分でかなり絞り、なおかつJEPG★★★(高画質)で撮っていてディテールの解像感が足りない時があり、いま使っているK-5 IIsあたりと比べるとさすがに差を感じる。厳密な比較をしない限りは問題ない。コンデジのセンサーサイズを比べれば画質も高感度性能も雲泥の差だ。

連写のレスポンスは秒間6コマだけに悪くない。遅いという噂のAFだけど、各モードを試してみたがレスポンスは十分。ただしバッファ容量が少なく、JEPG★★★(高画質)モードの場合、4コマ目くらいで処理が滞る。が、連写でバシバシ撮りまくる用途で使うカメラでもないのであまり問題は無い。

カッコ的にはXSレンズ以外を組み合わせる選択肢はなく(かろうじてFA 50mm F1.4と角形フードはゆるせるかも)、もうこのレンズ専用ボディという感じ。でも、それでもいい。

動画もH.264でとれるけど、そもそもAFが効かない当たりで使いようが限られる。どこかのタイミングで試してみたいけど…。デザイン云々は別にしても、2万円以下の価格と高感度耐性の高いK-5譲りのAPS-Cセンサーという理由だけでも十分コストパフォーマンスは高いと思う。

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April 05, 2014

マクロ

Imgp2828久しぶりにマクロレンズをマクロレンズらしく使った。等倍マクロでは最安クラスのTAMRON 90mm F2.8。ペンタックスの50m F1.4や35mm F2.0あたりと比べても多少絞り込んでもボケ味が柔らかくて撮ってて気持ちが良い。

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March 22, 2014

いまさらながらのPENTAX K-5 IIs

Imgp8771今さらながらK-5 IIsにボディ更新。いままで使っていたK-5を買ったのは2年前のジュネーブショー直前だったから、2年ちょっとでの切替えとなった。K-3が出て半年ちかく経つけれど、値段がいっこうに落ちないのと、K-5 IIsボディ本体が6万円半ばというCNのセミエントリー機なみの価格までに落ち込んでいること、バッテリーグリップが引き続き使えるという貧乏性が出てしまった。

K100D→K20D→K-7→K5→K5 IIsと(順調に?)代替えしてきたけど、マイナーチェンジ機ということで当然ながら変わった感はあまりない(それを安心感とも言うけれど)。ローパスフィルターレスになったり、AFが改良されて背面液晶とかにも手を入れられているが、実際に使ってみて一番変わったと感じるのは絵作りかな。ローパスがなくなったせいもあるかもしれないけど、カスタムイメージを「ナチュラル」で撮ってもやたら発色が良い。「鮮やか」を選択する意味がなくなったので、もっぱらJPEG撮って出しで使う分には「ナチュラル」のみ。画質についてはさすがにカリカリにシャープ。液晶とかシマシマ模様とか撮るとモアレがそれなりに出るけれど、想定並み。

自分のウデと使用用途では、K-5を手にした時点で性能的に満足してしまっていて、代替する理由が正直見つからなかったけれど、このK-5 IIsでその感はますます強まった。新しい機種には惹かれるけど、どうにもオーバースペックで手が出にくい。てなわけで、今年から来年にかけてはレンズとストロボを充実させる時期と位置づけたい。

まず狙うは35mmのマクロ、それとだいぶ改良されたというAF540FGZ II、そしてロードマップで予告されている16-105mmあたりの標準ズーム。これ、F4通しだと嬉しいな。実はα7に惹かれていたりもするけれど、機材を揃えてしまった関係でどうにも浮気できない状況にある。

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March 14, 2014

音楽評論は何を語るべきか

Photoたまには書評も。最近はもっぱらkindleで手に入るものは電子版で購入するようになった。この手の書籍コードがついたら1500円はしそう(そして最初の3ページを読んで後悔する)な内容とボリュームでも、電子版なら300円。この気安さがよい。

で本題。この30年間、音楽評論の中心にいたのは紛れもなく「rockin'on」だろう。かつて『Quick Japan』が28号で「音楽雑誌なんか読むな!」と挑発したのも、『ミュージック・マガジン』が2001年7月号で「音楽と評論」というテーマで真摯に語ったのも、そして『日本ロック雑誌クロニクル』で篠原章が皮肉交じりに描いたのもすべてその向かう先の対象はROだった。そして、ロック評論における悪の権化のように渋谷陽一を(そのビジネス的な成功を認めつつも)あげつらう。

本書で指摘される「ROがもたらした害悪」というものは、大きく2つ。

まず「自意識ロック語り」がもたらす「貧しさ」(95)。こでは前提として「業界構造としてミュージシャンは新譜の告知で雑誌に登場するわけで、一生懸命作ったものを完成させた高揚感にただ単に同調するインタビューになってしまいがち」(110)という切り口の画一化があり、そして「「ロックの不可能性に自覚的だけどあえてやっている俺カッコイイ」という物語とそのバリエーションが支配的に過ぎる」(105)というメディアの姿勢に対して疑義を呈する。

もうひとつは「商業化」。端的にはメディアが「Rock in Japan」というイベントオーガナイズすることによる問題だ。「フェスに関しては、それが音楽批評を劣化させた大きな原因の一つであると、僕は当事者として強く思っています。フェスというものは…環境を整備することがメディアでありメッセージなんですね。フジもサマソニも全てのフェスがそうで、それはそれでいいんだけど、ロックインジャパンは、ロッキング・オンという活字の会社がそれをやったことで、言論の批評性がフェスのメディア性に従属するものになった。雑誌ジャーナリズムがフェス文化に手を出したことの弊害は誰かが言わなかったことですよ」(402-413:柴那典の発言)。

前者はともかく、後者については言いがかりに近い気も。先の指摘でROがアーティストに同調するばかりでジャーナリズムの体をなしていないことを指摘しているのに、ここでは「雑誌ジャーナリズムがフェス文化に手を出した」ことを糾弾するというのはかなり悪質なレトリック。

自意識ロック語りと商業化は、本来矛盾するもので、この相反する要素を何とかして乗り越えようとしているROを貶めるのは相当に不当。外野からいろんな難癖を付けてヤジを飛ばしているだけのような雰囲気に終始するのが悲しい。

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November 30, 2013

Electraglide2013回顧

Photo去年に引き続き、エレクトラグライド2013を見てきた。

去年はステージが仕切られて同時並行でやっていたけど、今年はホールの対面で交互に演奏する方式に変更。後ろを振り返れば次の演奏が始まるので、会場中央に人が集中してしまい、フードコートに出るのもちょっと一苦労だった。

アーティストは、去年の高木正勝のような“外し”がなくて、正直メリハリに欠けた印象。でも個々のパフォーマンスはすばらしく、Factory Floor、MachinedrumにJames Blakeと、どれも強烈な個性だった。

それにしてもJames Blake。メディアが騒いでいるわりには音源聞くとピンとこないし、それでもみんなが良いというので聞いていたら耳になじんできて、ライブを見てノックアウト。そう言えば同じようなことが昔にもあったな、と思って振り返ってみると、ジャンルは違えどBeckがまさにそんな存在だったような気がする。

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