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August 20, 2005

『ミュージック・マガジンの500枚』

 探していたミュージック・マガジン社のディスクガイド『ミュージック・マガジンの500枚』をようやく手に入れた。ジャケットは相田みつを的(ほかに元ネタがあるのだろうか)。人生訓の多い『ミュージック・マガジン』らしい?

 企業としてのミュージック・マガジンは、ポリシーかそれともカネがないのか自社のwebサイトを(おそらく)用意していない。本やCDの情報源はほとんどネットから、というのが普通になってしまったわたしにとっては、これはけっこう不便だ。しかも同社の本は流通ルートが特殊なのか、アマゾンやら紀伊国屋webやらを検索しても出てこない。かといって書店で注文すると2週間も3週間も待たされたりする。注文して何週間も待たされるくらいなら、その間に大きな書店に行って見つけてくるからいいや、と思うのだが、面倒だったり暇がなかったりして結局行かない。そうしているうちに本は店頭から消え去り、入手不能になってしまうのだ。

img_3007 そんな話はともかくとして。『ミュージック・マガジンの500枚』は久しく更新していないディスクガイド・ガイドを執筆する気を起こすために買ったが、なかなかユニークなつくり。「地域」「音楽ジャンル」「年代」を変則的に組み合わせて分類しているところに特色があるとおもう。

 まず大分類からして特殊で、「ロック」「ブラック・ミュージック」といったジャンル名と一緒に「カリブ/中南米」「ヨーロッパ」といった地域別の音楽が横並びになっている。

 このうち「ロック」はアメリカン、ブリティッシュ、ユーロの3つに分けられ、「ブラック・ミュージック」はジャズ、R&B/ソウル、ラップ/ヒップホップ、ハウス/テクノなどにわけられる。

 さらにロックとブラック・ミュージックのそれぞれのサブジャンルは「~1969年まで」「1970~79年」「1980年~」という時間で区分されている。

 何が言いたいのかというと、この本は非機械的というか、非論理的な分類の仕方に特徴がある。ふつうならまず第1の階層で「音楽ジャンル」別に分類され、それぞれのアルバムは「年代」順に並べられるというパターンをとるが、この本では本来なら異なる階層にあるべき条件が、あるところでは並列になっていたり、あるところでは前後逆になっていたりする。

 そうなってくると、ディスクの分類基準はおのずとあいまいになってくる。とくにこの本の場合、黒人音楽とロック、さらに中南米という括りになっていて、それぞれの区分を明確に峻別しようとすると、どうしても違和感が出る。スペシャルズはどれに入るのの? ジミヘンはロックなのに、プリンスはブラック・ミュージック。その差はどこにある? テクノ/ハウスは黒人音楽の範疇に繰り入れられているのに、なぜアンダーワールドが?という話になってくるから。

 分類だの範疇だのくだらないことにこだわってんじゃねえ。肝心なのは中身だよ、という声が聞こえてきそうだが、ディスクガイドは「形式」それ自体がすでにおおよその「内容」を示しているケースが多い。分類の基準が明確だと、全体の内容がカッチリ決まった感じになるし、逆にあいまいだと、「ロック」の視点から評しているのか、あるいは「黒人音楽」と捉えて論じているのか明確でなくなって、レビューの焦点がぼやけたものになってしまう。だから読み物としてはおもしろくても、ディスクガイドとしての機能性を考えるとこの本の出来はいまひとつかなという評価になってしまうわけだ。

 とまあほかにもいろいろ書きたいことはあるのだが、そこらへんは近日更新予定のディスクガイド・ガイドにて考えてみることにします。

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