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December 31, 2006

American Hardcore

 シアターN渋谷で『アメリカン・ハードコア』を見た。映画が始まるまえにプレゼントの抽選会があって、ハードコアパンクス映画に相応しからぬなごんだ雰囲気で開演した。

 中身はというと、80年代前半のアメリカのハードコア・パンクムーブメントを追ったドキュメントで、関係者のインタビューと当時のライブ映像を取り混ぜた構成になっている。それにしても、映像資料がよく残っていたな、という印象。ライブ映像はほとんどが断片的かつ荒れ荒れで、音声はアフレコでレコード音源に差し替えてあるため、生っぽさは若干薄い。それでもファン同士、あるいはファンととバンドの殴り合いなどは演技じゃなくて本気なだけに迫力がある。

 ハードコアはアンダーグラウンドな活動だっただけに、人の名前や活動は雑誌や本で知ることができるだけで、中心になって活動していた人たちのパーソナリティみたいなものはまったく知らなかった。雑誌でインタビューが載るということもまずないし。この映画でマイナー・スレット(イアン・マッケイ)、バッド・ブレインズ(HR)、ブラックフラッグ(グレッグ・ギン/ヘンリー・ロリンズ)といった人たちの肉声を聞けたのはちょっとした感動だった。

 『ミュージック・マガジン』の評にも書いてあったが、取りこぼしているバンドも結構あって、この映画で当時のハードコアがすべて把握できるというものではないと思う。またできればその後にくるオルタナティブやグランジの流行と関連づけた構成のしかたもありだったようにも感じた。ソニック・ユースやダイナソーJr.は出自からしてハードコアレーベル(SST)だったんだから。ともあれ、アメリカ音楽文化の懐の深さというか、底知れぬ力を実感できる作品だった。

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