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September 27, 2007

Sense of Wonder 感想その2

Imgp4179 音楽、アート、スポーツといった要素をひとところに集めた斬新なイベントがこのSense of Wonder。登場するアーティスト、展示された諸作品、そして山中湖という絶好のロケーションと、すばらしいコンセプトと環境を特徴とするフェスティバルでしたが、第1回ということもあり問題点もすくなからずありました。次回への期待も込めて、いくつかここで指摘させていただきます。

・ステージ配置の問題
 3つのステージはいずれもほど近くにあって、移動はたいへん便利なのですが、同時に弊害もありました。問題だったのは、Nature Flow FieldとSun Shower Fieldでは互いに隣の音がむごいほどに聞こえてきたこと。

 一方がアコースティックなアーティスト、他方がラウドな音を流すアーティストの場合がとくにひどいのです。UAや二階堂和美、高木正勝といったアーティストの演奏の際に、隣のステージから容赦なく爆音系のドラムやギターノイズが入ってきました。これでは聞いている方よりも演奏している方がかわいそうです。もちろん、隣のステージで演奏しているアーティストには何も罪はありません。出力する音を小さくするのではなくて、ステージ配置そのものを考えなおすべきだと思いますが、会場を考えるとそれは難しいかないっそのことSun Shower Fieldはもっと小さなステージにしてしまうとか…。

・ボーカルマイクの不調
 Nature Flow Fieldのボーカルマイクの不調は、午前中のUAの時から発生していました。早い段階で分かっていたにもかかわらず、クラムボンや高木正勝のステージでもトラブルを引きずっていたのはちょっと怠慢なのでは…。

・Mount Vives Fieldの存在
 大きな2つのステージに挟まれて「Mount Vives Field」という小さなステージというかブースがあったのですが、フジで言ったら木堂亭くらいのサイズで、演奏するアーティストをみられたのは、ステージ前にいる十数人だけという状態でした。できれば1メートルでもいいので、高台で演奏して欲しかったところです。

・終演後の大渋滞
 終演後、主催者は来場者にはやく帰らせようと盛んにアナウンスしていましたが、この人数が一斉に帰ったらとんでもない渋滞が発生することが容易に想像が付きました。案の定、一カ所しかない出口にはクルマが殺到。早く会場入りしたクルマほど出口から遠く、後ろの方は1時間以上も待たされたでしょう。右折方面と左折方面の出口を分けるなりすればもうちょっとスムーズに出せたと思うのですが…。

・Sun Shower Fieldのタープ
 なんでもかんでも規制するのは大嫌いなのですが、Sun Shower Fieldのタープ、これはなしでしょう。場所をめちゃくちゃとる上に、視界は遮られるし、ライブ中はだれもいなかったりして、このタープは何の意味があるのかな…、と思いました。禁止にしなくても、タープ用のエリアを設けるとか、そういう配慮があってもいいのではないかと思います。

・コンセプトについて
 Sense of Wonderのキャッチフレーズは"No music No art No sports No respect, No life!"。このうちの"Music"については、アーティストのラインナップでその独自性が感じられましたが、"Art"と"Sports"に関しては、ちょっとイメージと違ったかな、というのが正直な感想です。

 スポーツに関しては、Sun Shower Fieldの片隅で「あー、サッカー(フットサル)やっているな」という感覚以外の何ものでもありませんでしたし、アートに関しても、ステージ後方に置かれたオブジェなどには正直いって芸術性を感じるものではありませんでした(いわゆる「ゲージュツ」は音楽よりも個人間の嗜好の違いが大きいと思いますが…)。また、Nature Flow Fieldステージ横での即興ペイントは良かったのですが、別に音楽とは関係なしに描かれているようにも感じて、そうなると「べつにステージ横でなくてもいいのでは」と思ったのも確か。音楽から受けたインスピレーションをキャンバスに描いていくというのなら合点がいくのですがどうやらそういうモノでもなかったですし。

 Sense of Wonderに集まってくる人たちの、その目的は「アート」「スポーツ」ではなくて、あくまでも「ミュージック」なのです。そんな来場者に「アート」「スポーツ」を意識させようとするのであれば、音楽にインテグレートしていく方向がベストなのではないでしょうか。

 今は昔となってしまいましたが、かつてAIR JAM ではフリークライミングとか、スケボーのブースを設けていました。つまり「メロコア」と親和性が高いスポーツだから違和感がないのです。アートについて言えば難しいですが、会場の一カ所にポーンとオブジェを置いたところでそれが何の意味をもつ芸術なのか(芸術に意味を探ること自体がナンセンス?)理解しづらいと思います。

 何事も最初から100%完璧にこなせというつもりはありません。ましてやこれだけ規模の大きなイベントですから、見事開催にこぎ着けるまでの努力と労力も相当なものだったでしょう。スケールの大きなコンセプトを掲げてスタートしたのですから、これに懲りて次回の開催を見送る、なんてことは絶対にしてほしくはありません。ひとつひとつ、明らかになった課題を検証し、改善に向けた努力を続けていただきたいと思います。えらそうですんません。

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September 24, 2007

Sense of Wonder 感想その1

9月23日に「山中湖交流プラザきらら」で開催された野外フェスの感想を手短に。

◆The Hello Works
スチャダラパー+ロボ宙+SLY MONGOOSEの合体ユニット。シニカルでユーモアあふれるリリック、小島よしおやビリー風のダンスを観客に強要(?)するなど、エンタテインメント性抜群のショウでした。

◆UA
Sense of Wonderの個人的な裏テーマは「女性ヴォーカリストに浸る」。二階堂和美やクラムボンの原田郁子、そしてUAといった日本でも有数の女性ヴォーカリストを1日で楽しめるなんて、滅多にできないこと。

UAの出番はハローワークスの次で、グリーンのさわやかな服を身にまとって登場。のっけから圧倒的な歌唱でオーディエンスの目と耳を釘付け。あんな華奢なからだのどこからこんな声が出てくるんでしょうか。セットリストはほとんど覚えていないんですが、「雲がちぎれるとき」「LIGHTNING」あたりをやったと思います。

◆二階堂和美
ギター奏者、内橋和久を迎えてのライブ。自らもギターを抱えて弾き語ります。アルバム『二階堂和美のアルバム』収録曲を中心に披露。UAのような異次元の歌唱力ではなくて、ほのぼのと暖かい歌声が彼女の魅力。またひじょうに滑舌が良くて、「今日を問う Part2」のような超速早口ナンバーをライブで何とはなしに歌い上げていたのには驚き。スタイルは多彩で、童謡っぽい歌から、フォーク風、昭和歌謡風、ブギウギ、ポップソングまで自己流に消化して歌い上げています。聴き始めは和製ビョークかと思わせましたが、全然違いましたね。

◆Kaoru Inoue
昼食を食べながら井上薫。最初はアンビエントに近い変則テクノから始まり、次第に踊れる4つ打ちへと変化。最後はそうとう盛り上がってました。1時間ちょっとという時間はちょっと短かったかな…。そういうわたしは睡魔に負けて眠りこけていたんですが。

◆OOIOO
ボアダムズのヨシミ率いるガールズバンド。疾走感あふれるノイジーかつソリッドなギターサウンドで、一気に頂点までテンションを持って行く迫力はまさにボアダムズゆずり。ほとんど休みなく次々と曲を繰り出していました。手数の多いドラムの人はとくにすごかった。

◆クラムボン
ひどい渋滞にはまって到着が遅れたというクラムボン。入りは「Id」からで、緩い雰囲気でしたが、次第に熱を帯びてきます。いわゆる音響派というかポストロックのエッセンスを曲や演奏のそこかしこに織り込んでいるところが彼女らの特徴だと思いますが、肩肘張らずに聞ける親しみやすさはやはり原田さんの歌によるところが大きいかな。Judee Sillのカバー(原曲は知らないんですが)「That's the Spirit」も演奏してくれました。

◆高木正勝
いわゆる普通のロックフェスでは絶対にお目にかかれないアーティストだけあって、個人的にとても楽しみにしていました。彼が出るからこそチケットを買ったようなものです。

さて、こちらも到着が遅れたとのことで、サウンドチェックに時間がかかり、スタートは定刻から50分遅れの8時前。セットはバイオリンやチェロなどのストリングスとピアノ、そしてボーカルを中心とする大所帯な構成。個人的にはもうちょっとコンパクトな仕様で来ると思っていたのでこれはちょっと意外。高木さんは映像作家でもありますから、バックにはスクリーンが設置されています。

演奏と映像のすばらしさは言わずもがな。「Girls」や「Light song」などわたしが個人的に好きな曲あったりして、その壮大でカラフルなサウンドスケープにすっかり酔いしれてしまいました。

ただ、音楽とは違う映像が流れて演奏を止めたり、時間がないためセットリストの内の何曲かを飛ばして演奏するバタバタもあったりして、準備不足の影響を感じさせたことも事実。

また、背後のスクリーンは低い位置にあって下の方が切れてしまっていたことと、投影型スクリーンの限界なのか色の再現性に欠けていて、豊かな色彩表現ができていなかったのが大変残念でした。フジのグリーンステージ横にあるLEDディスプレイのような自発光タイプのモニタがあれば…。あと、これは個人的な願望だったのですが、昔のエレクトロニカな曲もちょっとでもいいから披露して欲しかったですね。セットにはキーボードやエレキギターも置かれてしましたから、もしかしたら飛ばしたものに電子音系の曲がふくまれていたのかもしれません。それに、ピアノなど小音量での演奏の時はサーノイズも気になりました。

だいぶ文句を書いてしまいましたが、演奏そのものは今回のSense of Wonderでも随一のすばらしさ。「時間がなくて本当に申し訳ない」と高木さんはおっしゃっていましたが、それでも時間ギリギリまでアンコールも披露してくれました。終演後に感動のあまり涙する人も少なからず見かけました。

多少問題があった今回のステージですが、高木さんには「こういう野外フェスではやっぱり納得した演奏はできないな」と思ってもらいたくありません。ぜひ次回も出てもらって、オーディエンスも自らも満足できるパフォーマンスを見せてもらいたいと思いました。

手短に、と書いた割には長くなってしまいました。イベント自体の感想を次回書くことにします。

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September 22, 2007

あづい~

 もうそろそろ10月になろうとしているのに、この暑さ。家で寝ていると、時計のアラームで目覚めるのではなくて暑さで目が覚めてしまう。我が家のラグもぐったり。年中夏みたいで季節感がないから、時間が経っている感じがしない。

 『ミュージック・マガジン』10月号を買った。大特集&表紙はゆらゆら帝国。この人たちも微妙に長いね。そういえば、ボーカル&ギターの坂本氏に似ていると言われたこともあったなあ…。中身はまだ詳しく読んでないので、機会を改めて感想を。

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September 19, 2007

Sense of Wonder

(1)
 今週末は山中湖でSense of Wonderがある。キャンプインではない1日限りの野外イベントだけれど、高木正勝や二階堂和美といった生演奏を見たかったけれども見られなかったアーティストを見られるからとても楽しみ。ロケーションも良さそうだし(ちょっと整いすぎている感はあるが)。

(2)
 フランクフルトの中古盤屋で買ったKLFの『Chill Out』を聞いている。タイトルそのままに、ひたすらなごみ系の音かと思いきや、なんかとても変。さわやかで、透明感でなおかつキャッチーではあるんだけど、どこかしら不穏で不気味。

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September 16, 2007

南ドイツ周遊

仕事ついでの出張に、取り損ねていた夏休みをドッキングして、2週間ほどドイツに滞在。最初の1週間はレンタカーを借りて田舎&古城めぐり。後の1週間はそんなリゾート気分も忘れて寝る時間もなく取材・原稿書きに追われる。

ドイツへは、学生時代に行った時ぶり。もう8年も前のことだ。そういえば、旅行記と称した非常にくだらないゼミ論を書いたなあと思い出す。屋根のおそろしく高いフランクフルトの駅舎はあの頃のまま。

S_r0010947のちほど写真を載せる予定なので、良かったらどうぞ。左の画像は古城ホテルに泊まっていたときお朝食部屋で朝飯を食っていたおじさん。

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September 03, 2007

Airtunes

(1)
S_image005 ものぐさぶりが極まって、またLast.fmにはまっていたこともあって、さいきんはPCでばかり音楽を聴いている。けれどもデスクトップスピーカーは音が悪くて、聴く気を削ぐ。こうした快適なミュージックライフを妨げる問題を一挙に解決してくれるのがこのAirmac Express。

単純に言えばミニジャックの出力端子の付いた無線LANルータなわけだけれど、こいつをルータにしてPCでネットをすると、有線接続よりも著しく速度が落ちるので、ネットには有線でつないでAirmac Expressへはスピーカーへのデータを転送して、モンスターケーブルでアンプにつなぐ方法をとっている(訳分からなかったらごめんなさい)。これでもFMトランスミッターを使うよりは遙かに音はいい。

家にいるときはほぼPCの電源は入れっぱなしなので、iTunesもつねに起動。再生・早送り・音量調節まで、ひととおりの作業はデスクトップ上でおこなえるから、リモコンいらずで非常に便利。劣悪な小型スピーカーではなくて、それなりにましな鳴り方をする家のステレオできけるから、精神的にもなんだか楽な気分。つなぎ始めたときは、ときおり接続が切れたりしてしまうことがあったけれど、いつのまにやらその問題も解消。

(2)
となると、いよいよCDというメディアとお別れすることになるのか、というとそういうわけではない。最大のネックはやはりDRM(「デジタル著作権管理」)で、iTunes Storeで音源を買ってもこれが原因でカーステレオに持って行けないし、iPod以外のポータブルプレーヤーにデータを移せないので、音楽を聴く場が限られてしまうのが難点。CDならディスクさえ持っていればどこでもかしこでも聴けるのに。

MP3の圧縮音源はたしかに音は落ちるけど、そのぶんデータが軽いから1枚のメディアで大量に持ち運べるのが魅力。でも裏を返せば、その利便性だけでみんな利用しているので、DRMの名の下に利用範囲をがんじがらめにしてしまったら、けっきょくなかなか使わないわけで。アーティストの権利保護もわかるが、もうちょっとうまい方法を考えついてほしいところだ。

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September 02, 2007

コメディ・ショウ

シンバルズの「コメディ・ショウ」という曲が妙に気に入っている。垢抜けていなし、おしゃれってわけでもないんだけど、ほのぼの~というか、10年前を思い出すような懐かしさがあったりもして。そういうアナクロな感傷にふける歳になったんだなあと思うと暗い気分になるけれど、これはこれでいいものだから。

『ミュージック・マガジン』で「渋谷系」の特集をやっていた。読んで思ったのは、特集でやっている「渋谷系」とは、ひと世代上の「渋谷系」のような気がする。フリッパーズはすでにリアルタイムではなかったし、かろうじて後期のピチカート・ファイブをかすっていたいたような気がする。

なにをもって渋谷系というのかは微妙だけれど、自分にとっての「渋谷系」っていうのは、「当時聴いた音楽の中で比較的おしゃれ~な感じのする音楽」というものすごくあいまいな定義になってしまう。

サニーデイは渋谷系、コーネリアスも渋谷系。ステレオラブやクラウドベリー・ジャムやカーディガンズも渋谷系。おそらくUAやCharaもその範疇に入る。シンバルズだってそうだ。チボ・マットやバッファロー・ドーターはその周辺、という感じかな。他人に「好きなアーティストは?」と聞かれてこのバンドなら恥ずかしくない、と思いこんでいたころに、つまりは対面ばかりを気にしていた頃に、必死に買いあさっていたバンドばかりで、いま思うとなんだか気恥ずかしい。

ともかく、ひとそれぞれの「渋谷系」があるというとだ。それを考えるきっかけを与えてくれた『ミュージック・マガジン』に感謝。

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September 01, 2007

『<ポストモダン>とは何だったのか』

Honjo 本上まもるさんの『<ポストモダン>とは何だったのか』(PHP親書)を読んだ。90年代半ばのアカデミズムを経験した著者が、柄谷行人の著作に代表される「ポストモダン」の諸論考を明快かつ、とても大胆に解読。自分と関心のある分野に多少ならず重なる部分があって、腑に落ちない部分はあるものの、興味深い内容だった。

 筆者の個人的な「体験」と「分析」がところどころで入り交じっていて、読み物的にはおもしろいけれど、冷静に読んでいくと??と思う箇所もしばしば。特に社会学について論じる部分では、アカデミズムの最新の研究事例を一瞥すらせずにテレビなどのマスコミで取り上げられる「社会学」を引き合いにして浅薄な学問と断じていたりもしていた。

 これまでの経験からして、哲学や政治学といった「思想」の世界に住む住人ほど、社会学にたいしてどこか冷たい視線を投げかける傾向があるように感じる。その背景には、「統計=社会学」みたいな思いこみみたいなものがある。統計といっても社会調査の資料は数的資料だけではなくて、「語り」の言説分析などの一次ソース研究が重要視されて(というよりこちらの方が主流になりつつある)いるわけで、量的調査の分析はむしろ民間のマーケティングツールとして利用されている。

 学生時代は、フーコーやらドゥルーズやらデリダやらを学んでいた人がたくさんいた。当時は、構造主義以後のフランス系の思想家は「身体性」とか「構造」とかいった用語を持ち出して、物事をや無理して難解に解釈しようとする人たちみたいな印象が強くて、ぜんぜんピンと来なかった印象がある。表面をさらっとなでただけで、真意に迫ることを放棄した自分が文句をいえることではないのだけど。

 ま、とにかく、この本は分かりやすかったということです。ホコリをかぶった本棚から最初の10ページしか読んでいないたくさんの思想書を引っ張り出してみたくなった。

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