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July 28, 2010

PENTAX K-7

PENTAX『K-7』を入手。次期モデルの登場までとずっと我慢しようと思っていたのだが、底値となっている現状を指をくわえて見ているわけにも行かなかった。

Dsc00060K100D→K20D→そしてK-7という変遷を経ているが、K100DとK20Dとの違いよりもK20DとK-7との違いの方が明らかに大きい。性能的な差というより、K10D/K20DのCanon/Nikon的大艦巨砲主義(といっては大げさかな)からPENTAXが本来得意としていた小型・高性能への路線変更による設計思想の違いが大きいように感じる。まだ2000枚弱しか撮っていないが、とりあえずファーストインプレッションを。

見た目は良好。*istDからK20Dまで引き継いできた“なで肩”デザインは気に入っていたけれど、K-7はこれでキヤノンともニコンとも違う味を出している。さすがにコンパクトで、標準レンズとしては大柄なDA16-45mm F4を装着してケースに入れても余裕がある。ただ握ってみて感じたのは、幅こそコンパクトだが、思ったよりボディに厚みがあるということ。また容積の割には密度感があってずっしりと重みがある。

とまどったのはUI。何が違うって再生ボタン。液晶左下に置かれていた再生ボタンは左上に移設。慣れというのは恐ろしいもので、今でもついついボタンのない液晶の左下を押してしまう。それと、メモリカードフォーマットの階層が一気に下になったのは改悪。

画質は高感度ノイズの改善ぶりには満足。ISO800はK20Dでは正直使い物にならなかったが、K-7では実用に足るレベルに達している。FA 35mm F2やFA50mm F1.4といった明るいレンズと組み合わせれば、夜のスナップでは大いに活躍してくれそうでとても楽しみ。AFの精度とスピード向上も実感できるものだ。なお今回はバッテリーグリップも合わせて購入。単三電池が使えるのは確かに便利だが、マガジンに挿すには6本必要なのでエネループあたりの水素ニッケル電池を使うとそうとう重い。充電や重量の面を考えれば標準のリチウムイオン電池を使った方がハンドリングは良さそう。

ちょっと戸惑っているのは、長秒時撮影の際の振る舞い。K20DではTvやマニュアルモードではシャッタースピードに比例して撮影者側で露出を変えることができたのだが、K-7だとどんなに長いシャッタースピードでも露出が(もちろん感度も)一定。なんでだろう? このあたりはまだ使い込み不足なので今後の課題。それにしても、仕事でかなりヘビーに一眼レフを使う自分だが、さすがに3台もボディを所有する必要はない。とくにK100Dは高感度の強さを買って残しているが、もうそろそろお役ご免ということになりそう。

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July 27, 2010

小谷野敦『日本文化論のインチキ』幻冬舎新書

Imgp08551各方面で話題の文芸評論家(比較文学者)による撫で斬り批判書。表題からして、これまでの日本文化論に対する批判の書として(自分も含めて)いわゆる左翼陣営が喜びそうな主張のように思えるが、隠れテーマは「グランドセオリー批判」「一次ソース至上主義」の文章と言える。

ここで、筆者の小谷野が最も嫌うことは何か。「私が言いたいのは、歴史に法則性を見つけようとすることが間違いだということなのである」(54)。あるいは、「文学作品を「例」として持ち出すのは構わないのだが、あたかもそれで論証をするような形になると学問を逸脱する」(65)。個別特殊な事象をもとに、一般普遍的な理論を打ち立てようとする姿勢に疑義を呈する。「非科学的」「非学問的」という言辞が至る所に飛び交うが、筆者は、歴史的事象に対して“法則性”や“理論”を打ち立てることの無意味さをひたすら繰り返している。

膨大な読書量に裏うちされた筆者の博学ぶりは十分理解できるのだが、その鋭い舌鋒が勢い余って批判する対象への人格非難を多分に含んでいる(というか読む者にそう感じさせてしまう)ことが、本書の“学問性”を薄めてしまっているように感じられた。「赤川学、山田昌弘といった社会学者は、当初から私の言うことを良く理解し自論を展開しており…」(170)といったような上から目線な表現がまた不遜な印象を与えてしまっている。

『もてない男』(ちくま新書:1999)を読んだときの「面白いことを書く人だなあ」という印象は変わらないが、本書は「もてない男」にはあった“内向きのベクトル”というか自虐性は失われて、やたらと外へと向かって攻撃的になっている。外へ向かうほどアカデミズムの世界からは無視され、そのことがまた小谷野を刺激してその先鋭性を増進する、というようなスパイラルを生んでしまっているような気がしてならない。

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July 20, 2010

SONY DSC-TX5

Imgp042313年前に買ったリコーの『R6』以来、久々のコンデジを秋葉原で(自分用ではないけれど)。CANONのIXY 30Sとちょっと迷ったけど、コンパクトさとデザインと防水性でサイバーショットを選択。それにしても、たった3年でここまで進化するのか、と思わせる高性能には驚くばかり。

広角25mmは後処理で歪みの補正をかなり入れているっぽいが、等倍でさえ見なければまず分からないし、高感度では階調がやや失われるもののノイズの少なさにもびっくり。スローシャッターでも全然ぶれない。おまけにHDR機能で見た目のままのシャドー&ハイライト再現には驚くばかり。画素数は1000万あればじゅうぶん。これ以上むやみに解像度を増すよりも高感度の画質をもっと上げてほしい。

それにしても、コンデジの世界はデジイチよりはるかに進化のスピードが速い。3年後はいったいどうなっているんだろうかと思うと、空恐ろしくて仕方ない。開発者はたいへんだ。

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July 19, 2010

『パリ20区、僕たちのクラス』ローラン・カンテ監督、フランソワ・ベゴドー原作

岩波ホールにて。9割以上の入りで大盛況。原作は未読。

Imgp03721生徒たちと笑顔で写真に収まる教師の写真が印象的なフライヤー。だが、日本の学園ドラマにありがちな予定調和のエンディングを想像すると、その期待は裏切られるはず。

物語において徹頭徹尾、主人公の国語教師と生徒たちの距離は縮まることはない。いや、物語の過程で縮まりそうな契機はあるが、とあるきっかけで再び離れてしまう。

自分が受け持つ生徒の退学を防ごうと思いつつ弁護するも、周囲の教師たちの意見には抗えず、結果的には退学を見届けてしまう。そして、ひどく悪態をつく女生徒を思わず“娼婦のようだ”と罵ってしまう。かといって、ひどく深刻に思い悩むシーンはない。ただボーッとタバコを捨て物思いにふける姿が描かれるのみ。どこかしら、教師と生徒、そしてカメラと教師との間には常に一定の距離が保たれていて、容易に内面に近づこうとはしない。

極めつけは、最後の場面。9か月の学期を終え、1人の生徒にある告白をされる。「自分は何一つ学んでいない」と。教師にとっては、まさに今までの努力は何だったのかと、自問を強いられる発言で物語は終わる。

なんというか、距離感が独特のドラマ。バッドエンドでもはっぴいえんどでもない、見る者にもやもやした何かを焼き付けて終わらせる映画だった。最初から最後まで、音楽が一切流れないことも印象的な作品。

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July 18, 2010

『Gainer』 8月号 「僕らは肉食系 やっぱり女子が好き!」

カンティアン、ヘーゲリアン、デリダリアンと自称する、あるいはそう呼ばれる輩は多かれど、ゲイナリアンは日本で自分だけだろうという自信はある。そんなことはさておき、今月の『Gainer』、大特集名は「僕らは肉食系 やっぱり女子が好き!」。ずいぶんと大きく出たもんだ。どれほどの女子好きか、見てやろーじゃねーか!

「上品露出の夏のイイ女FILE」(←世良公則っぽい)、「こなれエスコートで男を上げる」、「[夜活]に効くモテ小物」「キラ男vsギラ男 夏のデートBATTLE」と、世の女性たちを追いかけまわすことしか考えていない、下心丸出しテクを前面に押し出した内容に唖然。ファッション誌っちゅうより一昔前の『ポパイ』とか『ホットドッグ・プレス』的なノリでちょっと懐かしくもある。

Imgk7924ではさっそく内容を。大特集のページを開くなり、いきなり数名の女子にまとわりつかれてウハウハ状態の男性モデル。こんなシチュエーションあるわけねーだろ!と思いつつも、多少ならずうらやましく感じさせるあたり、男心のツボを刺激する術を知り尽くした誌面構成には感服。

Imgp0186Gainerの優れたところは、女性にもてるための「行動」を前面に出しつつも「ファッション」をうまいことブレンドして広告主をしっかり確保しているところにあると思う。表紙から文字までの数ページにガッチリと広告が入っているあたり、“自分たちがやりたいこと”とそのためにするべきマネタイズ策をぬかりなくやっていことが伺える。

「ちょっと肌寒いときに、ジャケットや羽織ものをかけていると大切にされていると実感する」(森咲子さん 法律事務所・28歳)というコピーの隣には、男性モデルが腰にニットを巻いてポーズを決めている。ハッキリ言って、いまどき堂々とニットに腰を巻ける度胸を持っているのはギョーカイ関係者くらいのものだが、そのニットを女性の肩にニットをかける写真もその隣にあったりすると、実際に行動に移すかはさておき、「オレもこうやれば、もしや…」と思わせる説得力を感じてしまう。

Imgk7928_2ほかにも、「外に出るついでに、『オレが食べたかったから』とスイーツを買ってきてくれる人って、押しつけがましくなくて気が利く!」(坂本麻美さん アパレル勤務・27歳)。写真には、スイーツ店の買い物袋を手に、ジャケット+ニットタイ+デニムのカジュアルスタイルで写るモデルが。なるほど、たしかにスーツではなくてこういうカッコならば、甘味モノを女子社員に買っていくのもけっして不自然ではないような気がする。
 

Imgk7941それ以外に面白かったのはお酒特集。日本酒、焼酎、ワイン/シャンパンなどいろんなお酒&お店の紹介に加えて、傑作だったのはお酒にまつわる失敗談の「酔っぱらい!とんでも武勇伝」。「起きたら女体盛りならぬ、男体盛りになっていた自分。」(監査法人勤務 W.Sさん)、「好きでもない女子に告白&プロポーズ。記憶はないけど向こうはその気に。実は今の奥さんです。」(ホテル勤務 S.Nさん)。どう考えても、おまえら適当に考えただろ!的なトンデモ話に添えられる写真は、ネクタイを頭に巻いて寝込むモデル。こんな奴、みたことねーよ!でも面白い。

Imgp0191総じて、なんだかモテるためのテクニックが前面に出すぎている印象もあるが、読み物としてはこれはこれでいい。表紙は小栗旬で、まっとうなファッション誌っぽいし、コンビニ店員に見られても特に恥ずかしくない。こういう本を一度でいいから作ってみたいと思う今日このごろ。ちょっと誉めすぎたかな。

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July 17, 2010

テント物色中

フジまで2週間を切り、時間があればテントを物色しているが、なかなか欲しいモノが見つからない。

ドームテントは軒並み巨大化が進んでいて、LOGOSやColemanあたりでは200cm四方でフライシートが全閉するタイプは昨シーズンあたりからラインナップから消えてしまった(半分覆うタイプならLOGOSから出ている)。250cmすらなく、270cmや300cmが当たり前。でもってキャノピーなんかが付いていたりするから場所を取ってしょうがない。でかくてかさばると運ぶのも一苦労だし、設営もしんどい。

こっちは2人が寝られるだけのスペースがあって、それなりに雨風がしのげるだけでいいのだが…。いっそのこと、ツーリングテントにしようとも思うが、今度は低い天地ゆえの居住性の悪さと価格の高さがちょっとネック。

Imgp4432ちなみにいま使っているのは、去年の朝霧JAM前日にホームセンターで5000円で買ったもの。フライシートとインナーテントのサイズが微妙に合っていなくて、床にしわができてしまう。これでも実用上は問題ないんだけどね。でもフジは前夜祭を含めると延べ5日間の長丁場、しかもキツイ斜面なので、確実にヘタる。去年みたいな土砂降りを考えるとちゃんとしたものを買っておきたい。こまった。

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July 14, 2010

兄弟再会

先日、久しぶりに兄弟で集まって酒を飲んだ。以前会ったのは、祖母が亡くなった1年半ほど前。前回はそれぞれお互いに時間がなくてじっくり話せなかったが、今回はずいぶんと話し込んだ。

すべてオトコの4人兄弟で、自分は末っ子。中学生の頃には兄たちはすべて実家を離れて、それぞれの所帯をもっていた。自分ひとり、のんびりと実家でのうのうと暮らし、20代半ばまで学生の身分に甘んじていた。

てなわけで、多感な時代をすごした頃にはすでに兄たちは身近な存在でなかったのだけど、幼少のころの記憶だけが共有されていて、友人たちとも親との会話ともちがう、不思議な盛り上がり方だった。遅くとも2年以内にはまた集まろうと約束したが、それが実現されるかどうかはかなり微妙。

Imgk7348帰りは愛犬ラグと戯れる。こいつだけは10数年の時を経ても変わらない。

会えないのならこっちから会いに行ってやろう。

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July 06, 2010

『プレゼンテーションZEN』ピアソン・エデュケーション刊

Imgp6303パワポやKeyNoteの解説本というと、『できる○○』のようないわゆるHowto物が大半だが、この本はちょっと趣向が違う。プレゼンを制作するうえでの心構え、デザインに対する態度、クリエイティビティを喚起する発想法、といったように作り手のイマジネーションを豊かにし、自信を植え付けてくれるための本。差し込まれた写真やレイアウトのセンスもちょっとすごい。

「何よりも大切なのは自分の題材に対して無慈悲な編集者になることである。…「どんなに多くのコンテンツを詰め込んでも、「おい!なんで○○のことを言わなかったんだ!」と文句を言ってくる人間は必ずいるのである。世の中には扱いにくい人間が存在する。彼らを相手にしてはならない。また、リスクを恐れて判断を誤ることがないようにしたい」(109-110ページ)

「すべての素晴らしいプレゼンテーションには、物語の要素がある。あなたの仕事は忘れられない物語を生み出してくれる要素をコンテンツ中から見つけることである」(110ページ)

いままで、スライドで演じる「プレゼンテーション」と紙に残すことが前提の「提案資料」とは別物と思っていたけれど、この本を読んで考えを改めた。

「聴衆はどんな人々か?
 彼らはどんなバックグラウンドを持っているのか?
 聴衆は私(我々)に何を期待しているのか?
 なぜ私にプレゼンテーションの依頼が来たのか?
 このプレゼンテーションは何を言わんとしているのか?
 もし、たった一つの事しか聴衆の記憶にしか残らないとしたら、それは何であって欲しいか?」(73ページ)

優れたプレゼンテーション資料は優れた提案資料になりうる。この本の効力はその成果を見て判断する必要がある(かくいう自分も実践中だ)が、プレゼン下手の企画担当者を勇気づけるには格好の書物。

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July 04, 2010

タイムテーブル出た

フジロックのタイムテーブル発表。なんだかんだ毎年苗場に足を運び続けて11回目! 毎年積み重ねているうちにもうそんなに経ってしまったのか、という印象。

見たいアーティストが被っていたりと、プラン立案は例年悩ましいんだけど、ここ数年で決まっているのは、(1)「来日タレント優先」(2)「見やすいステージ優先」(3)「予習済みアーティスト優先」。

(1)
国内アーティストは基本的に行こうと思えばライブに足を運べるので。海外組を優先するという理由。

(2)
見やすいステージについては、言い換えると居心地のいいステージ優先、ということになるかな。一番のベストは断然オレンジコート。この“最果ての地”は人の流れも少なく、のんびり過ごすにはうってつけ。で、このステージに出てくるバンドは基本的に音源を持っている必要のない即興系アーティストが多いので、所見でもすごく楽しめる。逆にキツいのがテントのレッド。とくに夜中はギュウギュウで、逃げ場がない。目当てのアーティストがいてもレッドと言うことでスルーしたこと数知れず。

(3)
予習済みアーティスト、というのは、それなりに入れ込んでいて、音源もある程度揃えているということ。今回で言うと、Broken Social Scene、Air、Scisor Sisters、moe.、Rusko、John Butler Trio、!!!にLCD Sound System、bloodthirsty butchers、Massive Attackあたりか。

それにしても、もうあとひと月かあ。早いなあ。

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July 01, 2010

ソウル・パワー

Imgp62991配給アップリンク、新宿三丁目のケイズシネマ。見終わったときの第一印象、それは「究極的に濃ゆい」。1974年にザイール(コンゴ)のキンシャサで開催されたミュージックフェスティバル“ザイール '74”を取り上げたドキュメントムービー。ジェームズ・ブラウン、BBキングら、脂がノリに乗っていたソウル/R&Bシンガーのアブラぎりようといったら、表現のしようもない。

前半は開催までのドタバタ劇、後半はライブアクトを中心にした構成。アメリカで育った彼らは、ザイールの国語であるフランス語は当然理解できない。“黒人”であること、その一点をよりどころに、アフリカの地を“故郷”と呼び、その地でライブすることの感動と興奮と郷愁を伝える。彼ら/彼女らの歌はピュアな恋愛詞ばかりなのに、その語るところは非常に政治的。モハメド・アリのアジ演説は文字通り役者。マルコムXやマーティン・ルーサー・キングの後継を自らもって任じているかのようだ。

開催ギリギリまで設営でもめる気むずかしそうな白人の出資者とは対照的な、地元民の輝くような笑顔。マヌ・ディバンゴが街の子どもらとにサックスを披露して街を練り歩く光景はまさにブレーメンのそれで愉快。そして終盤のJBの強烈なパフォーマンスは圧巻。モンチッチのようなコミカルな衣装、すでに40歳を過ぎていながら驚異的なバネで繰り出す変態ダンス、耳をつんざく高音シャウト。まさにカリスマ。

ひとつ、不満を言わせてもらうなら、後半ではオーディエンス(一般大衆)の表情があまり伺えなかったこと。肌の色こそ同じながら、異国からやってきた言葉もわからないアーティストたち。白人音楽の影響のもとで大きく変貌を遂げた音楽性。彼ら/彼女らはこのイベントをどう見ていたのだろう。歓声は明らかにアフレコで不自然だったのも残念。

ともあれ、ソウルのパワーは十分に伝わってきた。終演後、何度もお辞儀を繰り返す汗だくJBの姿が頭から離れないんだ。

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