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July 01, 2010

ソウル・パワー

Imgp62991配給アップリンク、新宿三丁目のケイズシネマ。見終わったときの第一印象、それは「究極的に濃ゆい」。1974年にザイール(コンゴ)のキンシャサで開催されたミュージックフェスティバル“ザイール '74”を取り上げたドキュメントムービー。ジェームズ・ブラウン、BBキングら、脂がノリに乗っていたソウル/R&Bシンガーのアブラぎりようといったら、表現のしようもない。

前半は開催までのドタバタ劇、後半はライブアクトを中心にした構成。アメリカで育った彼らは、ザイールの国語であるフランス語は当然理解できない。“黒人”であること、その一点をよりどころに、アフリカの地を“故郷”と呼び、その地でライブすることの感動と興奮と郷愁を伝える。彼ら/彼女らの歌はピュアな恋愛詞ばかりなのに、その語るところは非常に政治的。モハメド・アリのアジ演説は文字通り役者。マルコムXやマーティン・ルーサー・キングの後継を自らもって任じているかのようだ。

開催ギリギリまで設営でもめる気むずかしそうな白人の出資者とは対照的な、地元民の輝くような笑顔。マヌ・ディバンゴが街の子どもらとにサックスを披露して街を練り歩く光景はまさにブレーメンのそれで愉快。そして終盤のJBの強烈なパフォーマンスは圧巻。モンチッチのようなコミカルな衣装、すでに40歳を過ぎていながら驚異的なバネで繰り出す変態ダンス、耳をつんざく高音シャウト。まさにカリスマ。

ひとつ、不満を言わせてもらうなら、後半ではオーディエンス(一般大衆)の表情があまり伺えなかったこと。肌の色こそ同じながら、異国からやってきた言葉もわからないアーティストたち。白人音楽の影響のもとで大きく変貌を遂げた音楽性。彼ら/彼女らはこのイベントをどう見ていたのだろう。歓声は明らかにアフレコで不自然だったのも残念。

ともあれ、ソウルのパワーは十分に伝わってきた。終演後、何度もお辞儀を繰り返す汗だくJBの姿が頭から離れないんだ。

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