November 21, 2010
November 10, 2010
オウテカ
もう12年も前の作品だけど、オウテカの“Pen Expers”を聞くたびに心が洗われる気分になる。嵐のように叩きつけてくる荒れ狂ったビートの奥底から響く美しい旋律。彼らの作品はひたすらミニマルだったり、乗り切れなかったりして理解できないものも(自分的には)沢山あるけど、ときおり他を寄せ付けないキラーチューンを放つから侮れない。
November 06, 2010
リサーチパブ
メディアを賑わしているリサーチパブの大半は、まず顧客があってその意向に沿うための結果ありきの調査だ。
結果なんて質問票の作り方如何でいくらでも操作しうる。ちょっとでも社会調査の手法を学んだ者なら、作為かどうかは容易に見破れるだろう。ていうか、世にはびこるリサーチパブを信じている人ってどれほどいるのだろう。
完全な客観など絶対にありえないが、すくなくとも“限りなく客観に近づけるための方法”を学んできた者にとっては、この手のパブはとうてい受け入れられる種類のものではない。そもそも調査(Re-Search)というのは“社会の像をいかに数値化するか”をテーマに研究されてきたはずのものだから。それが世論誘導の道具に使われてしまっているところに価値の転倒がある。
November 05, 2010
腕時計について
浪人生の時に買った、カシオのDATABANK HOTBIZ VBD-2000という腕時計をずーっと毎日身につけ続けている。服とか靴とかカバンとか、自分は物持ちが良い部類に入ると思っているけれど、愛犬のラグよりも長く14年以上も共に過ごしているものはさすがにない。
でもこの時計、大事に扱っているという感覚はなくて、なんとなく体と心に馴染むからという理由で使い続けてきた。そういう意味では家族以上の存在。自分のカラダと同じように、いろんなところがさすがにくたびれてきたが、機能的には全く問題は無く、まだまだ現役。壊れるまで身につけ、孫の代まで伝えたい。
…と思ってきたが、セイコーから久々に心揺さぶられる魅力的な製品が出てきた。「ブライツ」のSDGAシリーズ。外観はあまりおもしろみのないフラットで微妙にレトロなデザイン、でも盤面は未来感溢れるデジタルのフラットパネル。HOTBIZの再来だ。
一時期、ふつうのDATABANKに浮気することも考えたこともあったのだけれど、80'sテイストありすぎる数字キーがどうにも受け入れられなかった。
それにしてもこのブライツ、価格は10万円だという。機能やデザインにどんなに惹かれても、とてもじゃないけど手に入らない。憧れは憧れのままに、いまのHOTBIZを愛で続けるというのも、わるくない。
November 03, 2010
マザーウォーター
監督は多摩美出身の29歳、松本佳奈。初監督作品。
キャストは小林聡美、もたいまさこ、市川実日子、光石研、加瀬亮そして永山絢人(瑛太の弟さん。そっくり)など。一部は「かもめ食堂」とか「めがね」とか「プール」とかでお馴染みなメンバーでもある。本作の内実はというと、ひとことで言えば“グルメ映画”。とうふ、サンドイッチ、ウイスキーの水割り、グラタン…登場人物はほとんど常に、必ず何かをおいしそうに食べて、飲んでいる。
物語自体はじつに淡々と進んでいって、飄々としている小林聡美ともたいまさこのキャラクターが印象的。コーヒー店の店主をしている小泉今日子はその枯れ具合が微妙に色っぽい。加瀬亮は、小林に好意を持ちつつも常に一定の距離を取っている。市川は常に問いかけをしている。永山絢人も、もたいまさこととじゃれ合うときもあったが、途中で物語から姿を消した。これらの登場人物がどっかで結びつくのか…とおもいきや、そういう物語ではなく、どの人物も互いの距離を微妙に保ちながら、“この街”の心地よさに惹かれてつつ、交錯していくという話。
よくわからないといえば分からない作品だけれども、それぞれの登場人物を結びつけているのが、「ぽぷら」という名の子ども。2歳にも満たないらしい幼児だけれども、映像の中ではけっして泣くことはなく、主要な登場人物とかならずふれ合っている。光石研がいっていた、「この子はみんなの子どもだと思っているかも知れない」というセリフがこの作品を象徴しているのかも。伏線のようであって伏線ではない、でも微妙に関連している、みたいな要素を紐解きながら見ていくとけっこう楽しめそうな作品。
どうにもあいまいな解説ですいません。ただ、監督が描こうとしてた世界観みたいなものには、共感できるところが多かったように感じる。
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