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July 25, 2011

NHK出版『ダメ情報の見分けかた』(2010;荻上チキ、飯田泰之、鈴木謙介)

Imgp7058原発の安全性やら、「米のとぎ汁乳酸菌」やら、某ロックフェスへのアイドル出演拒否騒動など、なにかと事の真偽のほども分からぬままに世間を賑わす「うさんくさい情報」。本書は昨年出たものだが、なかなかタイムリーでセンセーショナルなタイトル。やはり見出しは大事。

とはいえ本書で述べられているのは全くむずかしい話ではなく、ベーシックなこと。

第1章では、人びとがデマ情報を信じてしまうのは「有名な人が言っているかどうか(有名性)」、「親密な人が言っているかどうか(親密性)」、「多数の人が言っているかどうか(複数性)」、そして「権威あるメディアが言っているかどうか(権威性)」に頼っているからと説明する。(68)。「有名性や親密性を頼りにして、検証を行わないことが流言やデマを鵜呑みにしてしまう土壌にさえなってしまいます」(69)。

そこで社会心理学者のハードレイ・キャントリルを引用して、「流言の内容的な矛盾や妥当性を判断する」「内在的チェック」と、「参考となる資料や証拠を探そうとする」「外在的チェック」の重要性を指摘する(68)。

分かりやすく言えば、内在的チェックは自身の経験や知識に照らしてその話題が真実かどうかを判断すること、また外在的チェックはその話題を裏付ける(またはその話題の信憑性を補完・保証する)情報を確かめる、ということになるだろうか。

第2章では、もうひとつの「ダメ情報」について指摘する。「様々な話に適用出来る、それどころか他の何にでもあてはまると感じたならば、そのな話には内容がない、書き手・伝え手にも特に言うことはないが〆切が近いのでとりあえず発信してみた情報だと考えておけばいい」(107)。こんなことは、ライター/記者/編集者であれば当たり前に持っておくべきモラルだけれど…。

第3章は欧米圏のリベラリズムの話題にシフトして、延々とロールズとサンデルとの違いを講釈。自由と平等の考え方如何で根底的に情報のとらえ方が変わるというのは分かるが、思想レベルの話は前章のケーススタディとあまりに隔絶しているので、正直どういうつながりがあるのかよく分からなかった。リベラリズムの話は1章どころか1冊でも足りないほどの話題なのだから、無理して本書に盛り込む必要はなかったように思う。

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