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August 10, 2011

東洋経済新報社『Think!』38号 特集「ソーシャルメディアインパクト」

Dsc02568ちょっと政治寄りな『FACTA』と双璧をなす、(クオリティペーパーならぬ)クオリティマガジンの典型例。新宿西口のブックファーストで探したが雑誌コードがなくて書籍扱いだったので探すのに苦労した。かなり読み込んだので写真の表紙がめくれ上がってしまったのはご容赦を。

今回の特集名は「ソーシャルメディアインパクト」。なにを今さら、という感もあるが、そこはThink!、表紙に名を連ねる執筆陣・対談陣を見ても分かるように、一流どころを揃えて有無を言わせぬ説得力を持たせている。

見どころはほんとうに沢山あるので、あえてひとつだけに絞って書く。それは巻末近くの團紀彦(建築家)と波頭亮(コンサルタント)との対談。「日本を再設計する」というタイトルのもと、東日本大震災で起こった福島原発の問題を取り上げて、その被害が拡大した要因のひとつに「プロフェッショナル性の欠如」を指摘する。この対談、具体例から一般化(特殊から普遍)という往復の文脈がじつにスリリングで面白い。

改めて目からウロコだったのは次のくだり。いずれも波頭氏の発言。

「プロフェッショナルの側の問題としては、いくらクライアントとはいえ、言いなりになっていては、自分にとっても、またクライアントにとってもいい仕事にならないことのほうが多い」(139)

「クライアントに対してプロフェッショナルでなければ提供できないようなレベルの高い仕事を提供できなければ、どんどんレベルの低い作業仕事を請け負わされてしまうことになる。そして、そうした流れの行き着く先は、その職業自体の喪失です。だからこそ、どんな領域のプロフェッショナルであれ、目先のお金をもらうためだけに仕事をするようなことをしてはいけないのです」(139)

日々の業務では、代理店からのプレッシャーや楽な方に流されてしまいそうになる自分がいて、ついつい妥協してしまいそうになるが、やはり信念を貫き通すというのは大切。及ばずながらプロフェッショナルな仕事を目指す身としては、波頭氏の的確すぎる指摘は分かっちゃいることだけど耳が痛い。陳腐な感想だけど、とにかく再発見の多い内容だった。

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